有限(ゆうげん)会社大平(おおひら)技研(ぎけん)は、専門(せんもん)施設(しせつ)()けの業務(ぎょうむ)用プラネタリウム製品(せいひん)家庭(かてい)で星空を楽しめる製品(せいひん)、プラネタリウムに(かん)するイベントの企画(きかく)開発(かいはつ)提供(ていきょう)などを行っています。子どもの(ころ)から自力でプラネタリウム作りを行ってきた、代表(だいひょう)取締役(とりしまりやく)でありプラネタリウム・クリエーターである大平貴之(おおひらたかゆき)さんにお話を(うかが)いました。

プラネタリウムと本物(ほんもの)の夜空の(ちが)

100万()以上(いじょう)の星を投影(とうえい)できる光学(しき)プラネタリウム投影機(とうえいき)「MEGASTAR」は、世界(せかい)(はじ)めて(あま)(がわ)を「星の集団(しゅうだん)」として表現(ひょうげん)しました。

星を見るなら、本物(ほんもの)の夜空の圧倒的(あっとうてき)なスケールにはかないません。(わたし)は、高校二年の時にオーストラリアへハレー彗星(すいせい)を見に行った感動(かんどう)(わす)れられません。あの南半球(みなみはんきゅう)の夜空で見た無数(むすう)の星が(あつ)まって(きら)めく(あま)(がわ)迫力(はくりょく)を何とかしてプラネタリウムで再現(さいげん)したいという思いが、光学(しき)プラネタリウム投影機(とうえいき)「MEGASTAR(メガスター)」開発(かいはつ)原動力(げんどうりょく)になりました。(わか)(ころ)体験(たいけん)強烈(きょうれつ)に心に(きざ)()まれ、体験(たいけん)でしか()られないことが(こころ)(かて)となってその人を形作ります。

しかしプラネタリウムにしかできないこともあります。プラネタリウムでは、時間を操作(そうさ)して過去(かこ)現在(げんざい)未来(みらい)の星空を(うつ)()したり、星座(せいざ)のイラストを星空に(かさ)()わせたり、地球(ちきゅう)上のさまざまな場所(ばしょ)宇宙(うちゅう)からの星空だって瞬時(しゅんじ)に見ることができます。肉眼(にくがん)一度(いちど)に見える星の数はおよそ3000()程度(ていど)といわれています。(わたし)(たち)はプラネタリウムという空間で、現実(げんじつ)には見ることのできない数の星空や宇宙(うちゅう)疑似(ぎじ)体験(たいけん)できるのです。

「MEGASTARの星空は、まるで宇宙(うちゅう)空間で見た星空そのもの」

日本科学未来館(にっぽんかがくみらいかん)常設(じょうせつ)設置(せっち)された「MEGASTAR-II cosmos」(当時の投影(とうえい)星数560万())。2004年に「世界(せかい)(もっと)先進的(せんしんてき)なプラネタリウム投影機(とうえいき)」としてギネスワールドレコーズに登録(とうろく)されました。

100万()以上(いじょう)の星が投影(とうえい)できる「MEGASTAR」は、(わたし)が大学時代(じだい)に作ったレンズ(しき)投影機(とうえいき)「アストロライナー」から進化(しんか)発展(はってん)したものです。より多くの恒星(こうせい)数が投影(とうえい)でき、コンパクトになった「MEGASTAR」は、今では多くのプラネタリウムに採用(さいよう)されています。

日本科学未来館(にっぽんかがくみらいかん)館長(かんちょう)宇宙(うちゅう)飛行士(ひこうし)毛利(もうり)(まもる)さんから「MEGASTARの星空は、まるで宇宙(うちゅう)空間で見た星空そのものだった」というお言葉(ことば)をいただいた時には(うれ)しさもひとしおでした。日本科学未来館(にっぽんかがくみらいかん)では、(やく)1000万()の星を投影(とうえい)できる「MEGASTAR-II cosmos」と立体視(りったいし)映像(えいぞう)システムが連動(れんどう)したプログラムが楽しめます。

日本科学未来館(にっぽんかがくみらいかん)

光学(しき)の星とデジタル(しき)映像(えいぞう)融合(ゆうごう)した「MEGASTAR-Ⅲ FUSION」

2012年「かわさき(そら)(みどり)科学館(かがくかん)川崎市(かわさきし)青少年科学館(かがくかん))」のために新開発(しんかいはつ)した次世代(じせだい)(がた)プラネタリウム「MEGASTAR-Ⅲ FUSION」。恒星(こうせい)投影(とうえい)数は100万~2000万()

「MEGASTAR-Ⅲ FUSION」は、星の明るさや色を精密(せいみつ)再現(さいげん)してリアルさを徹底(てってい)追求(ついきゅう)した光学(しき)投影機(とうえいき)「MEGASTAR-Ⅲ」と、あらゆる映像(えいぞう)や空間表現(ひょうげん)可能(かのう)にするデジタルプラネタリウムの技術(ぎじゅつ)融合(ゆうごう)させたものです。

これまでのプラネタリウムでは、光学(しき)投影(とうえい)した星の上に、プロジェクタで風景(ふうけい)やCGの映像(えいぞう)(うつ)すと、(かさ)なった部分(ぶぶん)の星が映像(えいぞう)()けて(うつ)ってしまいました。しかし「MEGASTAR-Ⅲ FUSION」では、(かさ)なった部分(ぶぶん)不要(ふよう)な星を()して調整(ちょうせい)できます。この光学(しき)とデジタル技術(ぎじゅつ)融合(ゆうごう)により、たとえば星空と山の稜線(りょうせん)風景(ふうけい)も山に星が(かさ)なることなく投影(とうえい)でき、まるで本物(ほんもの)の星空を体験(たいけん)するかのような一体感(いったいかん)を生みだすのです。

大平(おおひら)技研(ぎけん)による「MEGASTAR-FUSION」の説明(せつめい)動画(どうが)。The ultimate planetarium system "MEGASTAR-FUSION"

プラネタリウムの技術(ぎじゅつ)は、実際(じっさい)に見てもらうことが一番です。ぜひ、かわさき(そら)(みどり)科学館(かがくかん)体験(たいけん)してみてください。

かわさき(そら)(みどり)科学館(かがくかん)川崎市(かわさきし)青少年科学館(かがくかん)

洞窟(どうくつ)、スタジアム、病院(びょういん)…「あらゆる場所(ばしょ)に星空を」

種子島(たねがしま)千座(ちくら)岩屋(いわや)」の風穴(ふうけつ)(どう)岩肌(いわはだ)に、「MEGASTAR-II」で星空を投影(とうえい)する夜間野外投影(とうえい)イベント。種子島(たねがしま)宇宙(うちゅう)芸術(げいじゅつ)(さい)「星の洞窟(どうくつ)」は2015年から毎年開催(かいさい)

大平(おおひら)技研(ぎけん)では「あらゆる場所(ばしょ)に星空を」を()言葉(ことば)に、プラネタリウムに関連(かんれん)したイベントも数多く企画(きかく)実施(じっし)しています。プラネタリウムという専門(せんもん)施設(しせつ)から()()して、洞窟(どうくつ)、スタジアム、商業(しょうぎょう)施設(しせつ)などのさまざまな場所(ばしょ)投影(とうえい)しています。また、社会的(しゃかいてき)()()みの一つとして、病院(びょういん)老人(ろうじん)ホームなどに星空を(とど)ける活動(かつどう)も行っています。(うつく)しい星空を見る機会(きかい)()れることで、みんなが宇宙(うちゅう)地球(ちきゅう)生命(せいめい)などについて考えるきっかけになればと思います。

あらゆる最新(さいしん)テクノロジーが()まったプラネタリウムは、音楽や映像(えいぞう)などの芸術(げいじゅつ)と組み合わさることで、さらに表現(ひょうげん)(はば)が広がります。演劇(えんげき)やインスタレーションといった芸術(げいじゅつ)シーンでも効果的(こうかてき)に活用されており、(ほか)にも無限(むげん)可能性(かのうせい)()められています。これからも、さまざまな場所(ばしょ)や空間に星空を(うつ)()してまいります。

小さい(ころ)から(はじ)まったプラネタリウム作りへの情熱(じょうねつ)

小学六年生の時に(えが)いた光学(しき)プラネタリウムの設計(せっけい)図。青少年科学館(かがくかん)のようなレンズ(しき)プラネタリウムを自分で作りたい!と情熱(じょうねつ)()やしていました。

小さい(ころ)から、宿題(しゅくだい)()(もの)はすぐ(わす)れちゃうけど、科学実験(じっけん)やものづくりに夢中(むちゅう)になってのめり()む子どもでした。(いね)(そだ)てたり、花火やロケット製作(せいさく)、何にでも興味(きょうみ)があって、自分ひとりで考えて作るのが()きでした。人間関係(かんけい)苦手(にがて)なんですが、わからないことがあると大人(おとな)質問(しつもん)する行動力(こうどうりょく)だけはありました。家から30分の場所(ばしょ)にある川崎市(かわさきし)青少年科学館(かがくかん)(げん)・かわさき(そら)(みどり)科学館(かがくかん))の解説員だった若宮(わかみや)(たか)(のり)さんに会いに行ってプラネタリウムの投影機(とうえいき)についての説明(せつめい)を聞いたり、(かた)(ぱし)からレンズ工場に電話をかけて(あま)っているレンズを大量(たいりょう)にもらってきたりしている小学生でした。

そこからプラネタリウム作りにのめり()み、大学時代(じだい)の4年間で足らずに1年間休学してまでレンズ(しき)投影機(とうえいき)「アストロライナー」を完成(かんせい)させました。さらに就職(しゅうしょく)独立(どくりつ)()て「MEGASTAR」開発(かいはつ)へつながっていくのですが、小学生の(ころ)から()んでいる七(じょう)間の自分の部屋(へや)からいつも(わたし)のさまざまなプラネタリウムが生まれました。

10(おく)の星を(うつ)()す「GIGAMASK」で世界一(せかいいち)リアルなプラネタリウムを作りたい

超精密(ちょうせいみつ)恒星(こうせい)原板(げんぱん)「GIGAMASK」は、世界(せかい)最多(さいた)の10(おく)()以上(いじょう)の星を(うつ)()すことができます。

2015年に、大平(おおひら)技研(ぎけん)株式(かぶしき)会社ソニーDADCジャパン((げん)株式(かぶしき)会社ソニー・ミュージックソリューションズ)との共同(きょうどう)開発(かいはつ)によって、世界(せかい)最多(さいた)の10(おく)()以上(いじょう)恒星(こうせい)投影(とうえい)できる「GIGAMASK」が誕生(たんじょう)しました。

「GIGAMASK」は、大平(おおひら)技研(ぎけん)のプラネタリウムの技術(ぎじゅつ)恒星(こうせい)データの処理(しょり)技術(ぎじゅつ)と、ソニーDADCジャパンの超精密(ちょうせいみつ)パターニング技術(ぎじゅつ)※1を集結(しゅうけつ)した超精密(ちょうせいみつ)恒星(こうせい)原板(げんぱん)です。ブルーレイディスクなどを作るときに使(つか)われる大容量(ようりょう)高密度(こうみつど)光ディスクマスタリング技術(ぎじゅつ)駆使(くし)して、世界(せかい)最小(さいしょう)となる直径(ちょっけい)180nm(180ナノメーター=10万分の18mm)という極微(きょくび)(あな)加工(かこう)技術(ぎじゅつ)開発(かいはつ)成功(せいこう)しました。
この技術(ぎじゅつ)によって、肉眼(にくがん)では見ることができない20(とう)星※2という微光(びこう)星※3までを正確(せいかく)再現(さいげん)できます。

  • ※1 パターニング技術(ぎじゅつ)半導体(はんどうたい)加工(かこう)などに使(つか)われる微細(びさい)()技術(ぎじゅつ)
  • ※2 明るさによる星の()(かた)。夜空で(もっと)も明るい星を1(とう)星として、2(とう)星、3(とう)星…肉眼(にくがん)で見える一番(くら)い星が6(とう)星です。
  • ※3 非常(ひじょう)(くら)く小さく見える星。
10(おく)の星空を(うつ)()すプラネタリウムができたら?

実際(じっさい)に10(おく)の星を投影(とうえい)してみて、(わたし)自身(じしん)その透明感(とうめいかん)ある質感(しつかん)とリアルさに鳥肌(とりはだ)が立ちました。
さらに今年(ことし)横浜市(よこはまし)洋光台(ようこうだい)にある「はまぎん こども宇宙(うちゅう)科学館(かがくかん)」に、GIGAMASKを搭載(とうさい)したMEGASTARを納入(のうにゅう)しました。国内では初公開(はつこうかい)となります。投影(とうえい)星数は世界(せかい)最多(さいた)となる12(おく)()で、目が暗闇(くらやみ)()れてくると、どんどん見える星の数が()えていきます。是非(ぜひ)多くの方に、今までにないリアルな星空を楽しんでいただけたらと思います。

動画インタビュー
大きな(ゆめ)じゃなくてもいい、自分だけの「()き」があれば

大きな(ゆめ)でなくていいから自分だけの「()き」を見つけることが大切だと、大平(おおひら)さんは言います。動画(どうが)インタビューでは、子ども時代(じだい)の話やもの作りについてお話しいただきました。

コラム
(だん)ボール(ぼーる)プラネタリウムを作ってみよう!

大平(おおひら)技研(ぎけん)のホームページで紹介(しょうかい)されている(だん)ボール(ぼーる)プラネタリウムの作り方。

小学四年生の時に夜光塗料(とりょう)()った紙で星座(せいざ)(えが)いて以来(いらい)(わたし)の手作りプラネタリウム(れき)は40年以上(いじょう)です。(みな)さんも、(だん)ボール(ぼーる)とスマートフォンとアルミホイルだけでできる、簡単(かんたん)方法(ほうほう)で手作りプラネタリウムを作ってみてください。
星の型紙(かたがみ)は、冬の星座(せいざ)や夏の星座(せいざ)がホームページからダウンロードできます。5(とう)星(星の数1805())から7(とう)星(星の数29537())まで用意(ようい)してあります。この方法(ほうほう)は、一般(いっぱん)のピンホール(しき)プラネタリウムよりもきれいに投影(とうえい)できます。ぜひ挑戦(ちょうせん)してください。

大平(おおひら)技研(ぎけん)(だん)ボール(ぼーる)プラネタリウムの作り方」

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